「ASIOS」―超常現象を懐疑的に調査する会―のメンバーによるブログ。

2008年07月28日

エドガー・ミッチェル健在

本城です。

今回は最近話題になったオカルトニュースを紹介します。
「宇宙人は何度も我々にコンタクトしてきている」と告白するアポロ14号の宇宙飛行士 by GIGAZINE

記事を読んでみると、さりげなく「ロズウェル事件で捕獲されたという宇宙人の図」なんて写真がアップされていていい味出してます。作り物ですけどね。

記事本文のほうは、アポロ14号の宇宙飛行士が「グレイタイプの宇宙人は地球に来ている。自分はその情報を知っている」ってなことをラジオのインタビューで語ったという内容。

で、その宇宙飛行士は「9時間17分の月面歩行を行った記録」を持ち、さらに「航空工学の理学士号、さらには航空学と宇宙航行学の博士号も持っている」のだそうです。
こんな立派な経歴の持ち主が言っているんだから信憑性はある、ということが言いたいらしいですね。

ところが・・・
実はこの話に登場するエドガー・ミッチェルは、アポロ宇宙飛行士の中でも筋金入りのビリーバーとしてオカルト業界では昔から有名な人なんです。

宇宙飛行士をやめてからは、「Institute of Noetic Sciences」(IONS)という超能力研究所を設立し、ちょくちょく「実験したら肯定的な結果が出たよ」なんて報告をしたりしてます。自称超能力者のユリ・ゲラーも本物扱いしています。

もちろん、アメリカでは懐疑主義団体のCSIからその内容について批判も出てますし、インチキ医療などを監視する「Quackwatch 」(クアックウォッチ)という有名な団体からは、「かなり信用できない団体リスト」にIONSが入っていたりしてます。

それに今回のインタビュー内容についても、ミッチェルは似たような発言を昔から繰り返しているんです。

ロズウェル事件は真実だ! なんてことも10年前にも言ってましてね。10年経って少しはマシな証拠でも出したのかと思えば、相変わらず口だけですよ(笑)。ホント、変わらない人です。

ちなみにアポロ宇宙飛行士の中にはビリーバーも何人かいるんですが、その中でもミッチェルと並ぶ筋金入りビリーバーとして、ジェームズ・アーウィンという人もいました。

彼は15号の宇宙飛行士で、「ジェネシス・ロック」(創世記の石)を月面で発見したことをキッカケに神の存在を確信したそうで、宇宙飛行士をやめた後は、コロラド州のスプリングスに「ハイライト財団」という新興宗教を設立し、その教団の会長をやりながら布教活動をしていました。懐疑精神の間違った使い方と思い込みの激しさではミッチェルに匹敵します。

アーウィンのほうはすでに亡くなっているものの、たまにオカルト情報の権威付けとしてミッチェルと共に名前が出てくることもあるので要チェックです。
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2008年07月25日

興味深いUFO目撃報告の例

こんにちは。蒲田です。

 今回は『未確認飛行物体の科学的研究(コンドン報告)』から、UFO目撃報告を引用してみようと思います。

 その前に、この報告書の位置づけについて軽く触れます。

 UFO研究については、詳しい方と詳しくない方の知識の差がとても激しいので、「アメリカ政府がUFO研究をやっていた」と言うとUFOビリーバーの与太話のひとつと誤解している方もわりといるようです。しかし、1940年代後半〜1960年代まで、米政府がUFO研究を行っていたのは事実です(正しくはUFO目撃報告の研究)。

 米空軍が主体となり、最盛期にはUFOフリークにも負けない熱心さで現地調査も行っていました。そういった調査の経験から目撃報告の殆どが興味深い結果をもたらさないことが判明すると、規模は縮小し熱心さはなくなりましたけれども。

 「コンドン報告」は、コロラド大学が行ったUFOの科学的な研究で、アメリカ政府がUFO研究を終了するきっかけとなったものです。私はこの報告書を、最初で最後の「真に科学的なUFO研究書」ではないかと考えています。

 それでは体験談をどうぞ。この体験談は皆同じものを見たということが判明しています。目撃者は何を見たのでしょうか?

【物体の性質】
・降下し、それから見事な編隊で前方に進んでいました。破片が重力に逆らえるのでしょうか?
・物体の経路が水平だったので物体を衛星の破片や流星だとは思いません
・実在する物体には見えませんでした。

【物体の出現】
・目撃者は皆……翼のない細長いジェット機のようなものを見ました。前も後ろも燃えていました。目撃者は皆、窓がたくさんあるものを見ました。……もしUFOに誰かが乗っていて、窓の近くにいれば、見えたと思います。
・太い葉巻のような形に見えました……。こちらから見える側には四角い窓があるようでした……。機体は多くの板で構成されていて“リベット”打ちされているようでした……。“窓”の内側から光が漏れているようでした。
・普通のお皿を逆さまにして上部の出っ張りをなくしたものという感じです。皿よりもすこし細長かった。底の真ん中が出っ張っていて、それは底の半分程度ありました。
・炎は見えませんでしたが……金色の花火がたくさん見えました……。私の考えでは、それはライトが3個ついた固体燃料ロケットか、3個の楕円形の円盤型の飛行体です。
・あきらかに円盤型をしていました。
・後部から金属の火花を噴射していました。

【編隊飛行】
・間違いなく軍用機の編隊飛行でした。
・あれが隕石だとすれば、編隊飛行する隕石なんて初めてです
・1個の物体がもう1個を追跡しているように見えました。追跡されている方が速度が速いようでした。追跡側は……もう1個の方を撃墜しようとしているように見えました。

【距離と範囲】
・だいたい木の高さ付近で、非常にはっきりと見えました。数ヤードしか離れていませんでした。
・私たちは、尾をたなびかせた2個のオレンジ色の光体を目撃しましたが、その距離は2ヤードほどでした。
・自分の町の南にある雑木林に墜落したと思いました。

【応答と反応】
・私は本当にUFOを見たいと思っていました。だから大声を出したのを覚えています……。『これは自然現象じゃない。本物のUFOだ』と。私は……UFOとコンタクトを取ろうとしました。私は懐中電灯を持ち……モールス信号を送りました……。はっきりとした応答はありませんでした……。家に帰った後、眠気が襲ってきました……。飼い犬が2個のゴミ箱の間を通って……、死ぬほど怖がっているようで、クンクン鳴きながら道のゴミ箱の間にうずくまっていました……。人間には聞こえない高周波のせいでしょうか?
・望遠鏡を持って外にいた11歳の息子が怯えていました。

 何を目撃したときの報告か分かったでしょうか?明らかに情報が不足しているので、この目撃証言から正体を推測することはできないと思います。

 実は、これらの証言は、全て「ゾンド4号(アポロ計画の対抗としてソ連が行っていたソユーズL1計画の実験用無人宇宙船)」が大気圏再突入(一度、地球から30万kmの宇宙に出てから重力で地球に落下)したときの様子を語ったものです。

 実際にはバラバラになった宇宙船の破片が大気との摩擦で燃えながら落下していたのですが、目撃報告の多くはUFOとしか思えないものになっています。

 もちろん、「酷い目撃者ばっかりだ」という意味で紹介したのではなく、人間は誰しも、見慣れないものを見たときに、それがどういったものかをきちんと把握するのは難しいことなのだということが伝えたかったのです。

 超常現象の報告では、体験談や目撃証言が重要視される場合が多い(それ以外に証拠がないので当然ですけれど)のですが、体験談の扱いはとても難しいということが、この例から分かるのではないでしょうか。
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2008年07月24日

いまどきの若い者は問題

若島です。お久しぶりです。体調壊してましたが復旧しました。
 さて、今回は人間の持つ認知的偏向のなかでもとりわけ伝統的なものについて調べた小ネタで、ずばり「最近の若者はけしからん」の話です。

 いや本当に「最近の若い者は〜」というのは歴史がありまして、まず実例を見てみましょう。
 10世紀日本―平安中期の女流歌人、清少納言は嘆きました。
「〜なに事を言ひても、そのことさせんとす、いはんとす、なにせんとす、といふ文字を失ひて、ただ、いはむずる、里へいでんずる、など言へば、やがていとわろし」
 -現代語訳-
「(最近の若い者は、あまりに言葉が乱れており嘆かわしい)何から何まで"むずる語"を使うが、とてもみっともないことだ」
 『枕草子』清少納言 ※若島意訳あり注意
何を言ってるかというと
 最近の連中ときたら「言はんす」という正しい言い回しをせず、「」を省略して「言はむずる」といいやがる。
 という意味合い。

 さらにはもっと前、紀元前4世紀、清少納言より遡ること1300年、かの大哲学者プラトン先生もまた、似たように嘆いています。
「What is happening to our young people? They disrespect their elders, they disobey their parents. They ignore the law. They riot in the streets inflamed with wild notions. Their morals are decaying. What is to become of them?」
 -日本語訳-
「最近の若い者はなんなんだ?餓鬼のくせに年長者を敬わず、両親に反抗する。法律は守らない。ストリートギャング気取りで大暴れときたもんだ。連中の道徳心は腐れきっている。このままだと、いったいどうなってしまう」
『Politeia』plato ※若島意訳あり注意

 さらにはヒッタイトの遺物、エジプトの壁画から現代の居酒屋まで、いつでもどこでも散見されるし、恐らくは歴史上、さまざまな地域、時代、文化で、自然発生する愚痴なのであろうことは想像に難しくありませんね。

 私は確信しています。

 かつてアフリカの大地で、枝を片手に狩りのプランを説明している年長者が「最近の若い者はなっとらん、足跡の区別もろくにできん」と嘆いていたであろうことを!
 そう、いつの世も、倫理や文化が変わろうとも、集団生活が世代を重ねるほどに安定し、そこそこの時間が経過したならば、宗教や神話が生まれるのと同じくらい頻繁に、いつか年長者が「最近の若いものは云々」と嘆くのでしょう。

 さて、「最近の若い者は〜」というのは、実際のところ「昔はよかった」の系統や、「TVばかりみていると〜」「マンガの悪影響が〜」「ゲーム感覚で〜」「インターネットが世界の全てだと〜」といった論調のうち、「もっともらしく感じる人には感じるけれども実は無意味であるか誤り」な誤った主張と同種といえそうです。
(もちろん「少年犯罪の増加(本当は増加していない)」や「言葉の乱れ」などに対して「ゲームの悪影響だ」と言ってみたり、ただ「嘆かわしい」という価値判断をするだけといった具合に、パターンや力点の違いはありますが)

 そういうわけですが、続きまして、マンガ有害論やゲーム脳に連なる系譜の過去事例も紹介しましょう。

 これ、私は「反社会学講座」で知ったんですが、19世紀フランスの話で、凄いのがあります。
 当時のフランスは、大衆全体の識字率があがりつつ、小説類が普及していく第一段階でありました。

 そんな状況でのことです・・・
 
「連載小説が女の脳味噌にとって、男の脳味噌に対するアルコールと同じ、しかもおそらくもっと深刻な破壊を起こすのだと確信しない者はいない」『レジャーの誕生』著:Alain Corbin 訳:渡辺 響子 より

 エクセレント!これぞ「恋愛小説脳の恐怖」としかいいようがないですね。
 「最近の女中は仕事をサボって、空想にふけっている。これは恋愛小説が〜」というノリです。面白いですね。
 
 でも、上には上がいて、まだ凄いのがあります。

 これがとっておき。これはたまたまwebで拾ったのですが・・・
明治時代には「ゲーム脳の恐怖」ならぬ「野球脳の恐怖」が存在した!

 なんか凄いでしょう?

 ちょっとみてみましょう。えー、このサイトによると『戦後野球マンガ史:手塚治虫のいない風景』からの引用とあります。
 私は未読なので、孫引きですがご容赦ください。
「明治四三、四年頃には、「東京朝日新聞」などを中心に野球撲滅論が起こっている。「教育と野球」(野村浩一、私家版)から引くと、「野球はアメリカから来た賎戯で士君の弄ぶべきものではない。我が国には胆を練るには剣道があり柔道があり、また国技として相撲がある。どうして外来の遊戯を学ぶ必要があろうか」というのが大勢だった。五千円札に肖像が描かれている当時の一高校長新渡戸稲造は、「野球という遊戯は悪く云えば巾着切(すり)の遊戯、相手をペテンにかけよう、計画に陥れよう、塁を盗もうなど、眼を四方八方に配り、神経を鋭くしてやる遊戯である」と語っている。」
 「(中略)野球選手が学科の出来ぬのは、野球に熱中の余り勉強を怠るのかと思ったら、そうでなく、手が強い球を受ける為その震動が脳に伝わって、柔らかい学生の脳を刺激し、脳の作用を遅鈍ならしめる異常を呈せる」

 ・・・すみません、面白すぎて涙でました。

 「手が強い球を受ける為その震動が脳に伝わって、柔らかい学生の脳を刺激し、脳の作用を遅鈍ならしめる異常を呈せる」

 凄い。野球脳ですよコレ!

 (゜o ゜)ポカーンとしてしまいますね。

 ただ、「むずる語がいとわろし」も「恋愛小説脳」も「野球脳」も「ゲーム脳」も、いま、このように遠くから客観的に評価すれば、笑える話ですけど、もしかしたら自分たちも、同じことをしてしまう危険は常にあるということを自覚する必要はあるかも。
 野球脳までいくと遥か天空まで飛びすぎですが、注意深く身の周りを観察すれば、たぶん学校のクラブ活動から日常の職場まで、普通に存在しているはずです。
 
 これ、認知的錯誤やメカニズム、進化論と絡めた必然的な認知の偏向として、かなり面白い話に繋がるのですが、解説は別の機会にしておきます。

つづく かも?
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2008年07月22日

『本当にあったゆかいな話・恐怖スペシャル』

本城です。

zasshi.jpg今日発売の『本当にあったゆかいな話・恐怖スペシャル』(竹書房)という雑誌に、ASIOSが情報提供した企画があるので紹介します。

少しだけですが、雑誌中央のカラーページ企画内の1コーナー(半ページ)で、内容は心霊写真の再現を紹介しています。

ただし正直なところ、今回載った内容はASIOSが意図している方向と少し違っているので補足説明したいと思います。

少しのスペースではあるものの雑誌のコーナーを読むかぎり、いわゆる心霊写真の中には、最初からイカサマ目的でつくったものが多いかのような印象を受けかねません。

しかし、実際に多くの心霊写真と呼ばれるものを見てきて思うのですが、最初からイカサマ目的のものはそれほど多くないと思っています。いくつかの条件が重なって偶然撮れてしまうものが多いと思うのですね。

だから再現写真を撮るときは、偶然撮れてしまったという前提のもと、撮影状況から考えられる可能性の中で再現するように心がけています。状況を無視して、かたちだけ真似ても意味がないですから。

そんなわけでASIOSでは、イカサマを前提にした心霊写真はそれほど多くないと考えていますし、撮影状況を無視するようなこともしない方針です。

そして、この方針を明確にするためにも、現在あるASIOSの「心霊写真」のページの内容を、近々リニューアルする予定もあります。具体的には、「霊能者などの本で紹介されている心霊写真」と、その「再現写真と解説」を増やす予定です。お楽しみに。
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2008年07月16日

超常現象FAQ更新

 こんにちは。蒲田です。

 ASIOS公式Webページの更新お知らせです。

 [調査レポート]のページの超常現象FAQを更新しました。

 今回の更新では、比較的有名なUFO動画4本の真相が明かされています。動画は非常に説得力のあるものですが、最近はCG技術も進歩したため、「本当に起こったことか」という点についてすら、無条件に信用することはできない状態になってしまいました。

 私はCGのUFOよりも、昔ながらの模型を使ったUFO写真・動画の方が味があって好きです。

 では、超常現象FAQへどうぞ。
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2008年07月13日

『インディアン、嘘つかない』?

こんばんは。那須野です。

皆さんは、教科書でこんな話を習いませんでしたか?
「1626年に、ピーター・ミニットが24ドルほどの価値しかないビーズや針などと引き換えに、マンハッタン島をインディアンから買い取った」と。
「インディアンは、島の価値がわからないほど頭が悪かった」という感じで伝えられていますが、実はこの話には裏があったのです。

カナーシー族からマンハッタン島を買い取ったピーター・ミニットは、植民地の支配者として「上手い取引をした」とご満悦でしたが、カナーシー族は、自分たちこそ「上手いことやった」と考えていました。
なぜなら、カナーシー族は、実際にはマンハッタンを所有しておらず、ブルックリンに住んでいたからです。
当時、マンハッタン島を所有していたのは、ウェックェースギーク族でした。
つまり、カナーシー族は他人の土地を何の断りもなく勝手に白人に売り払ったのです。
取引から締め出されたウェックェースギーク族は激怒して、その後の何年間もオランダ人相手に戦いを挑んでいたといいます。

「1626年に、ピーター・ミニットがインディアンからマンハッタン島を買い取った」という話は、「ピーター・ミニットが詐欺に遭った」と書き直した方がいいでしょう。カナーシ族の方が白人よりも一枚上手だったようです。

ちなみに、同じ頃、ラリタン族は、スターテン島を少なくとも6回も売っているそうです。
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2008年07月11日

科学の理解度判定問題(回答編)

 こんにちは。蒲田です。

 前回は「科学の理解度判定問題」として5つの問題を出してみました。実は、この問題を作るときに参考にしたものがあるんです。知っている方は知っていると思いますが、私は、超常現象信奉者と色々な議論をしてきました。その実体験の中から、超常現象信奉者が陥りやすいと思った、科学に関する誤解を参考にしたのでした。


 ありがたいことに、いくつかトラックバックを頂きました。考えを深めるために役立つと思うので、是非トラックバックをつけて下さったブログも訪問してみてください→「科学の理解度判定問題」

 みなさんの答えを見てみると、やっぱり問題文自体に配慮が足りていないようで、色々と意見が出たようでした。私は出題者として、問題文の意図を全て理解しているので、その立場(特権的立場 笑)から回答を書きます。

 ただ、模範解答としてではなく、回答の一例として、みなさんの回答と同じように捉えてください。


 ひとつひとつの設問だけでどこまでも深入りできそうなので、細かい説明は省いています。そのため、この手の話題に詳しくないと分かりにくいものになっているかもしれません(今のところこの手の話題に詳しくない人はあまり訪問していただけてないような…)。


【問1】新しい理論は科学を発展させるから、新たな主張にはあまり厳しい批判をせず大事に扱うべきである。

回答:b
ポイント:批判は仮説の蓋然性を上げるために重要かつ役に立つ
理由:
 科学では提唱された仮説への批判によって理論が洗練されるという過程をとる。厳しい批判によって、理論が妥当でないという結論が得られたり、理論がより洗練されたものになる(不明点や不十分な点、矛盾や間違いが明らかになる)。
 たとえ、批判によって新理論がつぶれたとしても、それは科学の発展と言える。なぜならば、それはひとつの理論が正しくないと分かったということであり、つまりは自然の理解に一歩近づいたということだからだ。科学の進歩とは新たな理論を成立させることではなく、より妥当な結論を知ることである。
 事実に基づく根拠のある批判は科学の進歩にとって、とても重要である。


【問2】これからも絶対に間違いが見つからないように注意して作られた理論は、当然正しい理論である。

回答:b
ポイント:反証可能性の概念
理由:
 その理論が絶対に間違いを見つけられないような理論ならば、それは「世界五分前仮説」のように反証不可能な理論である。反証不可能な理論は間違いを見つけられない代わりに、正しいことも証明できない。よって科学では門前払いされる理論である。
 逆に科学的な理論は常に「新たに判明した事実」によって反証される(不十分な点や間違いが明らかになる)可能性を持っている。人間は全知にはなれないのだから、理論を作った時点で全ての事実を知っているわけではない。そのため、こういった不完全さは本来なら絶対に避けられない限界である。


【問3】新しく立てた理論について、その理論で説明できるという例を沢山見つければ、その理論の正しさはどんどん確実になっていく。

回答:b
ポイント:理論のもたらす説明の豊かさと蓋然性は独立している
理由:
 理論が正しいとする肯定的根拠をあげただけでは、ダメである。なぜならば確証バイアスに陥っているかもしれないからだ。科学の新理論は新理論に対する合理的な批判を解決すること(間違っている可能性をつぶすこと)によって完成する。
 理論の正しさという切り口の場合、その理論によってどれくらいのことを説明できるかは重要ではない。UFO宇宙人仮説のように様々な謎を説明できる仮説も、説明できること自体では蓋然性(もっともらしさ)を上げることはない。
 逆にどんなに色々なことを説明できる理論であっても、決定的な矛盾がひとつ存在するだけで、正しくないことが判明する。


【問4】"「白いカラスが存在する」という主張と「白いカラスは存在しない」という主張は対等なのだから、双方が証拠を持ち寄って議論すべきだ。"という考えは科学的である。

回答:b
ポイント:検証と反証の非対称性悪魔の証明
理由:
 ないということの証明は不可能である。つまり「白いカラスは存在しない」という主張を証明する事はできない。そのため、科学では基本的な仮説として「存在しない」という立場をとることを良しとする。
 逆に「白いカラスが存在する」という主張は実例を提示することで証明可能である。証明可能な主張と証明不可能な主張は対等ではない。第一段階として白いカラスが存在するという側が証拠を提出すべきである。


【問5】科学において間違った理論が主流になっていた事が多々ある。これは科学の"失敗した例"である。

回答:b
ポイント:理論の塗り替えは例外ではなくごくごく普通の道
理由:
 科学における理論とは、常に反駁される可能性を持っているのが正常である(問2の答えも参照のこと)。
 新しい事実の発見によってこれまで成り立っていた理論では説明がつかなくなる可能性は常に存在する。但し、これまでの観測結果とは矛盾しない範囲内であることにも注意。
 科学において理論が塗り替えられるのは、科学のエラー修正機能が正常に働いている証拠であって失敗の例ではない。逆に科学の進歩とは、理論の塗り替えを繰り返すこととも言える。
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2008年07月08日

アポロは月に行ってない?

本城です。

毎週、火曜の夜7時56分から、テレビ東京で放送されている「新説!?日本ミステリー」という番組をご存知でしょうか?

そもそも新説じゃないようなネタを、毎度自説に都合の悪い事実を無視しながら紹介してくれる超常系の番組です。

実は先週、この番組では「アポロ陰謀論」(アポロの宇宙飛行士たちは月に行ってないという説)を取り上げていたんですが、それがあまりにもトホホな内容だったので、今回取り上げる次第です。

まずは超常現象のガチ否定派として有名な大槻義彦教授が登場するシーン。この人、アポロ11号の月面着陸は疑わしいとして、宇宙飛行士たちが持ち帰った「月の石」に疑問をぶつけます。

いわく、地球に持ち帰ったあと世界中で分析したのに・・・
「惑星系とか月の形成とか、そういう歴史が手に取るように分かるはず。しかしなんの変哲もない地球の石ころと同じだという結論になって、全然研究者が興味を失っているわけ。要するに月の石と称するものは、なんの変哲もない地球の石と同じだったということ。非常に疑わしい」


ホントに疑わしいんでしょうか?

【疑問点1】
・惑星系とか月の形成とか、そういう歴史が手に取るように分かるはず。

→まず、この前提が間違っています。
アポロ11号が採取してきた石だけでは、惑星系や月の形成の歴史まで手に取るようにわかりません。

これについては、『最新・月の科学』(NHKブックス)という良書の中で、著者の一人で専門家でもある寺園淳也さんが書いている至言を紹介しておきます。

「私たちが地球の岩石を理解する時に、サハラ砂漠とゴビ砂漠の岩石で、すべてを理解したことになるだろうか?」


【疑問点2】
・月の石は、なんの変哲もない地球の石ころと同じだという結論になった。

→なっていません。これも前掲書から。

「(アポロが持ち帰った月の石は)水分はおろか、鉱物構成要素レベルで水(OH基)がまったくないことが明らかにされ、水にあふれた地球の岩石とはまさに別世界だった。ナトリウムやカリウムをはじめとした、比較的揮発性の高い元素にも乏しく、地球上では生成し得ない岩石・鉱物ばかりが見つかった」


ちなみに11号が持ち帰った石の中からは、「アーマルコライト」という新鉱物も発見されています。

この鉱物、現在では地球でもいくつか発見されていますが、11号が月に行った当時は未発見でした。そのため乗組員3人の名前を取り、「アーマルコライト/Armalcolite」(Armstrong, Aldrin, Collins)と名づけられ、国際鉱物学連合(IMA)からも新鉱物として認められています。

少なくとも「なんの変哲もない地球の石ころ」ではないですよね。十分、珍しいですから。


【疑問点3】
・研究者が興味を失っている。

→失っていません。
そもそも、大槻教授が登場した次のシーンに出ていた国立極地研究所の荒井朋子さんは月の石(隕石)を研究対象としており、その対象となる隕石由来の月の石は、アポロが持ち帰った石とも時折比較しながら研究が進められています。

また、こちらの記事でも、「アポロが持ち帰った石の研究は今も続けられている。将来の分析機器の発達を考え、研究用試料は小出しにされているからだ」と書かれています。


大槻教授の発言に関しては以上。
彼がおかしな発言するのは今に始まったことではないですけどね。

続いては後半部分で扱っていた「NASAがアポロ11号のオリジナルの記録テープを段ボール700箱以上も紛失した」という件についてです。

実はこれ、2006年の8月に世界的なニュースになっていて、新説でも何でもない今さらネタなんですが、番組では「NASAの隠蔽工作だ!」ということにしたいみたいでした。

その印象を強めるため、メールを送って無視されたり、直接NASA本部に出向いて拒否されるところは演出として許容範囲。

けれどもNASAに電話するシーンは放送しないほうが良かったんじゃないか、と思いました。だって「トゥルルル」という呼び出し音のあと・・・

「電話をいただいた方、業務は月曜日から金曜日です」


と、留守電の内容を字幕つきで放送しちゃうんですよ。これじゃ、ただ受け付け時間外に電話しているだけというのが丸わかりです。
NASAから拒否されている! ということを印象付けたい気持ちはわかるんですけど、さすがにここはコントでもおっ始めたのかと思いましたね。素直に受付時間中に電話しろよ、と。

ちなみに、こういったコントまでして紹介したこのネタ、番組では「今後も調査を続行する」ということで、まだ引っ張るつもりみたいでした。

ところが、番組的には残念なことに紛失したデータの一部は、ニュース発表の2ヵ月半後の2006年10月末に、オーストラリアの大学で発見されているんです。当時の第一報はこちら。

もちろん番組ではこのことを紹介してません。今後は、どうやってネタを繋ぐんでしょうかね。
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2008年07月06日

不思議な水晶玉

こんばんは。那須野です。

今日は『面白サイトリンク集』から、少し前にネットで話題になっていた不思議な水晶玉を紹介します。

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【遊び方】
1. まず、2桁の数を思い浮かべましょう。例えば 23
2. 思い浮かべた2桁の数の数字をそのまま足します。2+3=5
3. 元の数から2.で求めた数を引きましょう。23-5=18
4. その数のシンボルを右側の表から探して、覚えたら、水晶玉をクリックしてみましょう。
あら不思議!水晶玉に覚えたシンボルが現れます。

では、実際にやってみましょう。→ 不思議な水晶玉
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いやいやいや、本当に不思議ですね〜。
初めての方は、どうぞ何度も何度もやってみてください。
繰り返しやればやるほど、ますます不思議な気分になってきます。

さて、この不思議な水晶玉については、私のサイトの方にも質問をいただいたことがあります。
「なぜ心が読まれるのでしょう??」と。

う〜む、Flashごときに心が読めるものなんでしょうか?
カラクリがわからない!という方のために、ここで謎解きを。

まず、毎回マークが変わるところにご注目ください。
よく見ると、9の倍数は全部同じマークですね?
そして、自分が思い浮かべて計算した数字は、全部9の倍数ですよね。
そこに仕掛けが隠されています。
9.18.27.36.45.54.63.72.81と、9の倍数のマークは必ず同じになっています。
これは、昔からある単純な仕掛けで、トリックと呼べるほどのものではありません。
・・・なんて、偉そうに言ってますが、私も最初はドキドキしました。
これは本当によく出来ていると思います。
出現したマークを紙に一つ一つ記録していて、ふとカラクリに気付いた時にはガッカリしました。('A`)
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2008年07月04日

科学の理解度判定問題

 こんにちは。蒲田です。

 新聞などを見ていると、最近は「科学教育」と呼ばれるものがよく行われているようです。しかし、内容を見ると科学"技術"教育とでも呼んだ方がいいようなものに思えてしまいます。つまり、科学のキモである「考え方」を伝えるのではなく、科学技術のすばらしさを伝えるものだったり、理科実験のデモンストレーションになっているように感じるのです。
(理科離れ対策のようなので、それはそれで目的に合った対策なのかもしれないのですが)

 それから、「科学を知っているかどうかと、超常現象を信じているかどうかの間に関係はあるか?」みたいな調査でも、理科の知識量を問うような問題ばっかりだったりします。

 ASIOS結成前の話ですが、ASIOSメンバーとも「科学や懐疑、クリティカルシンキングにおいて「考え方」こそが大事なはずなのに、そういう話って全然出てこないから不満だよね」なんて話をしていたこともあります。

 そんなわけで、試しに「科学の考え方を知っているか?」という面に注目した問題を作ってみたりしました。今回はそれを紹介してみようかと思います。ちなみに、設問を作るのも難しかったので、設問自体に色々と問題が残っているかもしれませんね。

 みなさんも、是非挑戦してみてください。ブログに書いてこの記事にトラックバックをしていただければ嬉しいです。


 以下の問いについて、科学的思考としてより妥当だと思われる答えをa, bから選択せよ。また、それを選択した理由を自由に記述せよ(答え 各2点、理由 各18点 合計100点)。

【問1】新しい理論は科学を発展させるから、新たな主張にはあまり厳しい批判をせず、大事に扱うべきである。
a. その通り
b. そうではない

答え:
理由:


【問2】これからも絶対に間違いが見つからないように注意して作られた理論は、当然正しい理論である。
a. その通り
b. そうではない

答え:
理由:


【問3】新しく立てた理論について、その理論で説明できるという例を沢山見つければ、その理論の正しさはどんどん確実になっていく。
a. その通り
b. そうではない

答え:
理由:


【問4】"「白いカラスが存在する」という主張と「白いカラスは存在しない」という主張は対等なのだから、双方が証拠を持ち寄って議論すべきだ。"という考えは科学的である。
a. その通り
b. そうではない

答え:
理由:


【問5】科学の歴史において現代では間違いとされる理論が主流になっていた事が多々ある。これは科学が失敗した例である。
a. その通り
b. そうではない

答え:
理由:




【追記】
尚、この問題文は自由な利用、再配布が可能です。但し、この問題を利用したものは、何らかの方法でインターネット上で「公開」してください(いわゆるcopyleft、GPLライセンスのようなものです)。
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2008年07月01日

懐疑論者紹介 - マルセロ・トルッツィ -

本城です。

今回は海外の懐疑論者を紹介します。第一回目はマルセロ・トルッツィ。
・・・といっても日本ではほとんど知名度がないため、ご存知ない方が多いですよね。まずは簡単な略歴から紹介します。

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マルセロ・トルッツィ (Marcello Truzzi)
1936年、デンマーク生まれ。東ミシガン大学の社会学教授。アマチュア・マジシャン。
サーカス団員の一家に生まれ、1940年にアメリカに移住。プロマジシャンだった父親の影響で子どもの頃からマジックに親しみ、10代の頃はサーカスの手伝いなどをしていた。

その後、社会学に興味を持ち、研究者としての道を歩み始めると、子どもの頃から興味を持っていた超常現象の調査も始める。

1976年にはアメリカの懐疑主義団体「CSICOP」の創設メンバーとして同会に参加。初代副会長、会誌『ザ・ゼテティック』(現『スケプティカル・インクワイアラー』)の編集長を務める。

しかし77年になるとCSICOPの活動方針に不満を示し脱退。新しく『ザ・ゼテティック・スカラー』誌を刊行。81年には「トルッツィ科学的異常研究センター」(CSAR)を設立。

「ニセ懐疑主義」という言葉をつくり、さらに調査する前に判断を下そうとする者を「ニセ懐疑論者」と呼んで注意を促した。自らは「スケプティック/Skeptic」(懐疑論者)に替わる立場として、「ゼテティック/Zetetic」(探求者)というラベルを使用。

海外では、「ドライ」な立場の懐疑論者の対比として、「ウェット」な立場の懐疑論者の代表として挙げられることがある。

2003年に67歳で逝去。

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と、こんなところです。
ご覧になってもらえばわかるとおり、トルッツィはCSICOP脱退後はアメリカの懐疑主義の主流からは外れていたので、日本の懐疑論者の間での知名度は低いのかもしれません。

しかし私は、彼の主張や理念には共感するところが多く、日本でももっと知られるべき人物だと考えているので今回紹介している次第です。

トルッツィの特徴としては、上でも触れたドライとウェットの対比がわかりやすいと思うので紹介しましょう。

★懐疑論者のスタンス/「ドライ」「ウェット」(sci.skeptic FAQより)

【ドライ】
肯定派をまじめに相手にする理由はない。ちょっとした常識があればそのテのアイデアが完全に馬鹿げていることは分かる。
「彼らのアイデアを理解する」ために時間を費やすことや、虚偽を暴くのに必要な程度以上に「彼らの証拠を調べる」ことは時間を浪費するだけだ。
さらにそういう振る舞いは彼らに対面を与える。我々が真剣に取り扱ったら他の人も同じ事をするだろう。我々は彼らのアイデアがどんな馬鹿なことか他の人が分かるように冷やかさなければならない。「抱腹絶倒一回は三段論法千回の価値がある」のだ。

【ウェット】
彼らの言うことに丁寧に耳を傾けないで攻撃すれば、二つの危険を侵すことになる。

1. 本当に正しい人を見失ってしまう。
2. 彼らに我々を攻撃する武器を与えてしまう。人身攻撃や感情的な批判は我々を彼らと同じレベルに落としてしまう。我々が本当に理性的で科学的ならば、彼らに証拠を請求した後で良く考えた見解を述べることが要求される。


海外では大きく分けて上の二つのスタンスがあり、「ドライ」の代表はマーチン・ガードナー、「ウェット」の代表はトルッツィだといわれています。(ちなみに、現在の私のスタンスは「ウェット」のほうに近く、ASIOSという団体としてのスタンスもこちらに近いものです)

トルッツィは、超常現象に関する主張をすべて嘲笑し、より深い調査をしない傾向にあるドライな立場に批判的でした。そして、本当の懐疑論者が目指すべきスタンスとして「ゼテティック」というラベルを考案しました。

さらに彼は、「まじめな調査もせずに疑似科学のレッテルを貼って、多くの調査領域を前もって決めつける」立場を「ニセ懐疑主義」とし、そのような行動をとる者を「ニセ懐疑論者」と呼んで注意を促しています。

しかし海外の懐疑論者の間では、トルッツィは肯定派をまじめに扱ったり、調査後の判断が慎重だったことなどから、それほど高い評価は受けていないようです。

以下は、トルッツィが周囲からどう見られているかよくわかる本人のコメントです。

「超常現象を支持する友人たちからは、私はガチガチの懐疑派と見られています。しかしマーチン・ガードナー氏のような徹底した暴露家たちからは、私は優柔不断で単純とみなされているのです。つまり両側から責められているわけです」


これなどは、中立であろう、公正であろうとしたトルッツィらしい責められ方だなと思います。

最後になりますが、トルッツィの名言を紹介しておきましょう。
「並外れた主張には、並外れた証拠が必要となる」です。今ではカール・セーガンの名言として知られていますが、正確にはトルッツィが最初に自著で書き、それをセーガンが広めたものです。
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